音楽を魅力的に聴かせるコツ
音楽の要素とは
まず、原則として音楽の3大要素はリズム、メロディ、ハーモニーということはご存じかと思います。
なお、詳細な要素の解説は以下の通りです。
- リズム(律動)
- 音の時間的な長短や強弱(アクセント)の配置
- 2拍子、3拍子などの拍子感を生み出し、音楽の土台となる
- ドラムやパーカッション、手拍子などが担う。ピアノ演奏では、左手がバス(低音・ベースライン)で担うことが一般的
- メロディ(旋律)
- 音の高さが時間とともに変化する要素
- 楽曲の「歌」のパート。ピアノ演奏では、右手のソプラノ(高音)で担うことが一般的
- 通常、リズムに乗って流れる音の連なりを指す
- ハーモニー(和音・和声)
- 2つ以上の異なる高さの音が同時に鳴る響き
- メロディを支え、音の厚みや緊張感(和音の変化)を与える
- ピアノやギターなどの伴奏でよく用いられる。コード(ネーム)とも呼ばれる
それでは、上記の3大要素を正しく(表示どおり)に演奏することができれば、魅力的な音楽になるのでしょうか?
残念ながら、答えはNOです。
これらの要素をピッタリと合わせただけでは、AIが作ったような人間味のないコンピューター音楽になってしまいます。AIの技術進歩は目覚ましいものがあり、優秀になってきているものの、まだまだ人間にとってみては決して心地よい音楽には成り得ません。
楽譜通りに演奏すれば、素敵な演奏ができると思っていませんか?
残念ながら、人間味のある素敵な演奏をするためには、楽譜には書いていない裏(?!)要素を読み取る必要があるのです。次の章から順を追って解説します。
人間味のある魅力的な演奏にするにはどうしたらよいのか?
人間が出来てAIには出来ないことは何でしょうか?
そう、 呼吸 息をしていないのです
楽譜には記してありませんよね…
呼吸がない、もしくは不自然な状態で演奏が続くと、我々人間は無意識に呼吸をしながら曲を聴いているため、息苦しくなり、心地よく演奏を聴き続けることが困難になります。
ピアノという楽器は呼吸と連動させなくても鍵盤を押しさえすれば音が鳴ってしまう楽器なので、より注意が必要です。
では、呼吸を感じる音楽にするにはどのようにしたらよいのでしょうか?
メロディを歌に例えると分かりやすいので、『花』という唱歌を例に取り上げてみます
1、メロディをみていきましょう

「春のうららの墨田川」 → こちらが曲の冒頭の歌詞(字づら)です。
”はるの うら-ら-の す-み-だがわ” → 歌う際は このように変化します
日常的な国語の文法としての「単語」が、意味や機能を持ったこれ以上分解できない最小単位となるため、
メロディは ”は・る・の・う・ら・ら・の~” とは一音ずつ縦に切って発音しませんね。
ということで、歌詞の意味が成立するように横方向の流れに着目すると、
はる(の)、うらら(の)、すみだがわ という大きく分けると3つの文節で構成されていることが分かります。
さらに「意味的最小性(形態素)」を考慮すると ”春のうららの隅田川”までが 単なる単語単位の区切りではなく、さらに意味を成す一つの文として成り立ち、文法、語彙、感情、文脈などをより高精度に理解できるようになります。「形態素」に重点を置くことにより、より魅力的な音楽として聴かせることが出来るようになるのです。 意味を持たせるには、文節と文節のあいだの”間”(*軽い呼吸)を取りながら歌うということが、聴いている人に心地よさを伝える大切な要素になってきます。
*軽い呼吸:水泳で例えるならば、50m泳ぐ際に息継ぎをしても足はつかない状態で50m継続することに似ています。泳いでいる途中で足が少しでも着いてしまうと、足が着いた時点で泳いだ長さには含まれません。たとえ、足を着きながら合計で50mを達したとしても、記録上は50mとみなされないのと同じことです。
調性をみましょう
音楽における「調性」とは、ある特定の音(主音)を中心にして、メロディや和音が秩序正しく組み立てられている状態のことで、それぞれの音(ドやレ)からスタートする音階のグループを指しハ長調、二長調…と続きます。中学生時代に音楽の授業で学習するため、記憶にあるかたもいらっしゃることと思います。
長調であればGメジャー(ト長調)、短調であればEマイナー(ホ短調)です。
この曲の場合は、Gメジャー(ト長調)です。調性判断には五度圏の知識が必要です*2
なお、音を聴くと自動的に特定の色彩や視覚イメージを感じる、共感覚(色聴*1)をもつ人達は、Gメジャーは緑色(芽吹きの色)に例えらえることが一般的なようで、まさにこの曲「春」にふさわしい調性です。
注釈*1
音を聴いたときに色を感じる「共感覚(シナスタジア)」の一種。音階、和音、楽器の音色などに固有の色や光が見える現象で、人口の数パーセントに見られる極めてユニークな知覚。ロシアの作曲家であるスクリャービンは、徹底した色共感覚の持ち主で音と色の詳細な対応表を作成したことで有名。
注釈*2
五度圏とは、12の長調あるいは短調の主音を完全五度上昇あるいは下降するように並べて閉じて環にしたもの
楽譜上の音の高低をみていきましょう
楽譜は紙に黒インクで印刷されていますので、目視では平面でなんの凹凸もありません。上下を整えて配置します。

配置した五線譜(大譜表)のメロディの部分の、追加した赤線を見ていただくと山なりの形が見えてきます。これは、メロディーの高低を線に置き換えたラインです。この高低は、一般的には、上行すると高揚感が増し、下降すると沈静化します。更にこの情報に表情記号(発想記号・発想標語)を付加することで、作曲家が楽譜に込めた感情や曲のイメージを把握して、演奏者は聴衆に伝えるためにフレーズ、タッチなどを作りこんでいく作業をします。
すごくざっくりですが、ピアノを弾く際に最低限意識して欲しいことを記しました。これらを曲を意識していただくことで、音楽表現するための一歩として多いに役立つツールとなるはずです。はじめの一歩として、ぜひあなたの練習に取り入れてみてください。
あなたのピアノ上達を応援しています♪



